2世紀初頭 ローマ兵達が防寒の為、首に巻いたウール布がネクタイのルーツと言われる。
フォーカルと呼ばれたこの布は、妻や恋人達が戦地に赴く兵士たちの無事を祈って贈った大切なお守りであった。
17世紀後半 王に仕えるべく駆けつけたクロアチア騎兵が、揃って首に巻いていたこのフォーカルという布。闘志を表現しながらも、エレガントなこの襟飾りが宮廷に広まり、いつしか一般市民にまで普及しクラバットと呼ばれるようになる。
19世紀初頭 ファッションの主流であった英国で、稀代の洒落者と言われる詩人オスカーワイルドによって、現在と同じネクタイ【フォア・イン・ハンド・タイ】が考案される。
そのシンプルさと完成された美しさから、フォア・イン・ハンド・タイがネックウェアーの主流となり、100年以上経過した今でも形を変えず、紳士に許された嗜みとして受け継がれていく。
フォア・イン・ハンド・タイはネクタイと呼ばれ、皆に認知されているこの現代。
呼び名は変わってもその意味は変わらず、戦地に赴く兵士達と同様、企業に赴く男性の象徴とも呼べる存在であろう。
ネクタイは大剣小剣と表現されるように剣になぞらえられるが、それは見た目に限った事ではない。
戦う為の武器としての意味合いも多く含まれている。
この武器を持たずして、戦地に赴けるはずがあろうか。
洋服も靴も鞄も、その機能性が故に姿を変えず現在に残っているが、
機能性の全くないネクタイが、なぜ何百年の時を経ても尚、現在に残っているのか。
それは数あるファッションアイテムの中で唯一、男性のエレガンテのみを追求した存在だからである。
現在、女性が男性に贈るプレゼントとして、真っ先にあがるものはネクタイではないだろうか。
それは、2世紀初頭に妻や恋人が戦士に贈っていたお守り、フォーカルに由来するように思えてならない。
永年を経ても存在感を失わないこのネクタイ。
昔も今も変わらないという意味の古今(ココン)、これがブランド名の由来である。
伝統技術の粋を集めた珠玉のコレクション。
唯一無二の存在にして、日本が世界に誇るタイ「COCON」。
日本の伝統をタイというクラシック スタイルの世界に取り入れた唯一無二の存在。
その名には、フランス語で繭を表す「COCON」と、古き良き日本の伝統文化を今に伝えるという「古今」の意味が込められています。
古来より日本を代表する素材であるシルクに特化し、紡績、染色、縫製のそれぞれを、日本での最高技術と伝統を持つ産地で、一切の妥協を許さずに作り上げています。
シルク生地を熟知した稀有な職人がフルハンドメイドで生み出す技術と、こだわり抜いた最高の生地とが出会う事で、いままでのタイの概念を覆すクォリティーのタイが生まれます。
その類比なきこだわりで仕立てられたタイは、シルクの特性を生かした美しい発色を持ち、吸い付くような巻き心地、立体感のある美しいノットをもたらします。
世界に誇る日本の伝統技術の粋を集めたタイ。それがCOCONなのです。
“女神の名を宿す糸”
COCONが使用している正絹原糸は、厳選した最上級の6Aランクの天然絹のみを使用しています。その最上級の6Aランクの原糸は他の原糸と格が違い、原糸自体がローマ神話の花と春と豊穣を司る女神の名を冠し【Floraフローラ】という呼称名で呼ばれ、検定書が付けられている程です。【Floraフローラ】その名の通り、四季の中で一番品質が高い春に採取したその繭は、6Aランクの中でも更に突出した品質を誇る、極めて上質で希少な絹です。
“絹本来の光沢感”
最上級6Aランクの春繭原糸を、卓越した技術を持つ群馬の老舗撚糸工場が長年培った独自の手法にて、絹に余計なストレスを一切与えないよう甘撚りを行います。絹糸は強く撚れば撚るほど光沢感が失われてしまい、COCONでは絹が持つ本来の光沢感を損ねない為、この甘撚りで優しく糸を撚ります。一般的な甘撚りの更に半分以下、およそ100T/mで撚る事で、他では見られない優しい光沢感を帯び、表情豊かな生絹糸として生み出されていきます。
“受け継がれる伝統技術”
群馬で撚糸された生絹糸は、古来より日本の染色を担ってきた京都の老舗染色場にて、職人の手により一切の妥協を許さず染色されています。COCONの原糸は表情豊か故に、均一の染色が困難であり、豊富な知識と長年の染色勘を持った職人しか、それを行う事が出来ません。熟練した職人が時間をかけ丁寧に染色する事で、まさしく唯一無二の正絹糸が完成するのです。
“比類なきクオリティーの探求”
最上級絹糸を、通常のシルク織物では有り得ない程、緯糸を超高密度に打ち込み織り上げます。絹の豊かな光沢感や表情を重視する為に糸を可能な限り甘撚りにする事で、糸の強度が下がってしまいます。それを補う為に、打ち込みを極限まで上げて織る事で、糸の光沢感や表情を維持したまま、物性も高めるという高い次元での両立が具現化しました。それはCOCONが考え得る、最高のクォリティーを有した生地です。
“純朴故の美しさ”
通常シルクのネクタイ生地は織り上げた後、整理加工という糊付けをされますが、COCONのネクタイ生地は、敢えてこれを一切行わず未整理のまま製品化します。シルクが本来持つ美しい質感、そして未整理の生地が持つ独特な柔らかさや風合いを失わない為です。未整理生地は、縫製が難しい事と生地に誤魔化しが効かない事から、未整理生地のネクタイは殆ど製造されていません。
しかしCOCONでは、本来の絹生地が持つ自然な柔らかさや質感を味わえる未整理生地こそが最上と考え、全商品にそれを用いています。未整理生地のネクタイは締めた際、しなやかで立体感のあるノットを作り上げ、ネックに吸い付くような極上の締め心地を味わう事が出来ます。
“こだわりの2つのラインと3つの仕様(仕立て)”
リミテッドエディションライン
リミテッドエディションラインのネクタイは、1日1本しか仕立てられない為に1つの生地に対して8本のみの限定生産となっております。
( 1.セッテピエゲ仕立て )( 2.ディエチピエゲ仕立て)
リミテッドエディションラインのネクタイは、セッテピエゲとディエチピエゲという2つの仕立ての仕様がございます。
セッテピエゲはセッテ(7)ピエゲ(折り)、ディエチピエゲはディエチ(10)ピエゲ(折り)という名の通り、セッテピエゲは7回、ディエチピエゲは10回生地を折り仕立てる仕様となっております。
その為、通常のネクタイの2倍もの生地使用量を要し仕立てられています。倍もの生地を要する上、現在日本で本物のセッテピエゲ・ディエチピエゲを仕立てられる職人は非常に稀有な存在となっており、日本製ハンドメイドセッテピエゲ・ディエチピエゲは極めて希少な仕立てとなっております。熟練した職人が丁寧に手作業で仕立てるセッテピエゲ・ディエチピエゲは1本1本にハンドメイド特有の表情があり、独特な存在感があります。巻き心地も通常のネクタイと異なり、立体感のあるノットとエレガントなディンプルを作り出すことができます。
COCONのリミテッドエディションのセッテピエゲとディエチピエゲには、そのネクタイの良さを最大限に引き出すために、下記の2種類の芯地をモデルによって使い分けております。
捨て芯地
COCONのリミテッドエディションのセッテピエゲとディエチピエゲには、COCON独自で考案した業界初の捨て芯を採用しています。
これはセッテピエゲ・ディエチピエゲ特有の生地の 折り目が、表生地にアタリとなって出るのを防ぐ為にお客様のお手元に届くまで入れている芯であり、お客様ご自身が引き抜いてご使用頂くものです。この捨て芯はサンベル芯と呼ばれる物で、生地馴染みが良いことから、本来は高級なネクタイの毛芯地等と組み合わせて使用される芯です。このサンベルの捨て芯は、ネクタイの引き立て役の為、黒子をイメージし染色を施した、高級な黒サンベル芯を使用しております。
シルク芯地
本来セッテピエゲやディエチピエゲは芯地を入れず仕立てることが一般的ですが、COCONの生地の様な糊付けをせず自然な風合いを持ったシルク生地で仕立ててしまいますと表生地にアタリが出てしまいます。COCONではそれを解消する為と、適度なサイズのノットを作り出す為にシルクの芯を入れております。
通常ネクタイの芯地にはウールの芯地が用いられますが、ウールの芯地を使って仕立ててしまうとセッテピエゲ・ディエチピエゲ特有の自由自在にアレンジできるエレガントなディンプルが作れなくなってしまいます。
その為COCONでは表地と芯地とを分けて考えるのではなく、あくまで表地の一部としての芯地という考えからシルクのオリジナル芯地を開発することに至りました。
COCONのオリジナルシルク芯地はシルク100%の芯地で、表地との馴染みを良くする為に緯糸に特殊なシルク絹紡糸を使用し、織り上げております。
通常ネクタイの縫い糸は、強度の高いポリエステル糸が使われますが、COCONはネクタイ生地との馴染みの良さと美しさを損ねない為、シルク100%の強撚手縫い糸を使用し、美しさと強度を両立しています。
COCONネクタイのカンヌキ留めは、オリジナルの馬蹄型本閂を採用しています。フランス産の上質なコットン刺繍糸を用い、ハンドメイドでしか成し得ない立体感と存在感を持った、COCONを代表するディテールです。
レディメイドライン
ネクタイの一般的な仕様であるトレピエゲ仕立てのネクタイです。
一般的な仕様ですが、COCONはリミテッドエディションと全く同じクオリティーの生地を使用し、熟練した職人が丁寧にハンドメイドで1本1本丁寧に仕立てております。
( 3.トレピエゲ仕立て )
トレピエゲは、トレ(3)ピエゲ(折り)という名の通り、生地を3回折り仕立てる仕様となっております。日本製のトレピエゲはマシンメイドで仕立てられるのがほとんどですが、COCONでは熟練した職人が丁寧に手作業で折り仕立てております。
トレピエゲは一部の商品を除きウール50%アクリル50%のもので、ウールの復元性とアクリルの剪断性を兼ね備えたWクロス(2重織り)の黒芯を使用しています。
ネクタイ裏の広げなければ見えない部分に、染色を施した高級な黒芯を使用しているのも見えない部分へのCOCONのこだわりです。
COCONのネクタイは、裏地の無いスフォデラータ仕様で仕立てられているものが殆どですが、裏地が付く仕様の物には、超高密度に織られた表地用のオリジナルシルク生地を使用しています。そしてネクタイ裏側のカンヌキ止めの位置を極限にまで高くし、通常ネクタイに使われる裏地の倍以上の生地を贅沢に使用しています。
リミテッドエディションラインと同様にレディメイドラインの縫い糸もシルク100%の強撚手縫い糸を使用しております。天然繊維へのこだわりは、リミテッドエディションラインもレディメイドラインも変わりありません。
閂止めもリミテッドエディションと同様にオリジナルの馬蹄型本閂を採用しています。熟練した職人によるハンドメイドの編みカンヌキは独特な存在感を放っています。
“唯一無二”
COCONのリミテッドエディションラインのネクタイには、限定生産を示すリミテッドナンバーが織り込まれたブランドタグを採用しています。1つの生地に対して8本のみの限定生産の為、製品には1~8までの限定ナンバーが織り込まれ、同じネクタイは世界に一本しか存在しません。
レディメイドラインのネクタイのブランドタグも、細かい線や微妙な色合いなどの繊細なデザインを表現するために、リミテッドエディションと同様に、超高密度織ブランドタグを採用しております。
また、COCONの製品と一緒にお渡しする化粧箱は、羊皮紙の上に金の箔押しロゴがあしらわれ、貼箱職人がひとつひとつ手作業にて作り上げています。リミテッドエディションはレザーの持ち手が付いた引出型貼箱、レディメイドは折り箱が付属します。
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